「本当の父親じゃないと言われて腹が立ったので首を絞めた」
痛ましい事件の真相が徐々に明らかになっている。
9月18日未明、さいたま市見沼区の教職員用集合住宅で、この住宅に住む小学4年生の進藤遼佑さん(9)が殺害されているのが見つかった事件で、埼玉県警は19日夜、義理の父親の無職、進藤悠介容疑者(32)を死体遺棄容疑で逮捕した。捜査関係者によると、殺害についてもおおむね認めているという。
遼佑さんは高校教員の母親(42)の連れ子。母親は1年半ほど前にネットで知り合った悠介容疑者と今年3月に再婚したという。近所の人は、悠介容疑者が再婚相手だと思っていなかった人も多かった。
「時々、悠介容疑者は遼佑さんと一緒にいたが、20歳代くらいに見えて、年の離れた兄弟かなと思った」
「遼佑さんはテストでもよく満点をとっていた。走るのも速いし礼儀も正しい、本当にいいお子さんでしたよ」(同級生の保護者)
一方で、再婚を知る別の保護者はこう話す。
「(悠介容疑者は)授業参観や保護者会にいつも来ていた。私も14日の公開授業で見かけた。親子で仲良く話しているのを見かけたこともある。直接話したことはないが、いい人そうだな、若いのに偉いなと思っていた。イケメンだった」
捜査関係者は言う。
「悠介容疑者は広島県出身。東京の大学で福祉を学んだ。介護関連の資格があるようで、結婚後に仕事を探していたようだ。最近は無職という状態が続いていた。普段はヒモ状態。遼佑さんもそれを見ていたはずで、そういう複雑な家庭状況で何らかのトラブルがあったのではないか。今後、そこを追及することになる」
精神科医の片田珠美さんは次のように分析する。
「悠介容疑者にとって、血のつながりがない遼佑さんは望まぬ子どもであり、今回の事件は私の四つの分類でいえば『望まぬ子どもを消すための子殺し』だったのではないか。義理の父親と息子は母親からの愛情をめぐりライバル関係になりやすく、緊張が続いていたと考えられる。遼佑さんは、母親を取られたと感じて、反感を抱いていただろうし、母性を求めて結婚したと考えられる悠介容疑者も、やはり遼佑さんを良くは思っていなかっただろう。事件の引き金になったのは『本当の父親ではない』という一言だったのではないか」
悠介容疑者の真の動機の解明が待たれる。(本誌 今井良、緒方麦/今西憲之)
※週刊朝日 2019年10月4日号