退任を表明後、退席する竹田恒和会長 (c)朝日新聞社
退任を表明後、退席する竹田恒和会長 (c)朝日新聞社

 日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長(71)が19日の理事会で6月の任期で退任する意向を表明した。同時に、国際オリンピック委員会(IOC)の委員も退任するという。

 取材に応じた竹田会長は「定年であり、若いリーダーに後を託す」などと退任の理由を語った。そして、

 仏検察当局は2016年、日本の招致委員会が国際オリンピック委員会(IOC)委員だったラミン・ディアク国際陸上競技連盟(IAAF)前会長の息子に2800万シンガポールドル(約2億2000万円)のコンサルタント料を支払ったとされる疑惑の捜査を開始したと明らかにしていた。

 2億円あまりのコンサルタント料が、開催地選定の集票の見返り、賄賂ではないかと仏当局に事情聴取を受けていた竹田会長。

それが表面化すると、今年1月に記者会見はしたものの、コメントを読み上げ、質問にも応じず7分間で終了。批判が殺到し、より疑惑を深めることとなったことについて、竹田氏は「質問にも答えるつもりでおりましたが、応じないと決まり、私としては不本意な形で終わった」と述べた。

 あるJOCの関係者は竹田会長のコメントについてこう話す。

「竹田会長は捜査が始まっても『自分の手で2020年の東京五輪は招致した』と周囲に堂々と話していた。多くの関係者は、ことの重大さを認識していないなと感じましたね。1月の記者会見を7分間で打ち切ったのを他人のせいにしたのも、自分で責任をとらない竹田会長らしいと思ったね」

 疑惑が発覚以降、JOCは対応に追われた。だが、当事者である竹田会長自らが動くことはほとんどなかったという。

「すべて、周囲に任せきりですよ。普段もそうなんですが、JOCから渡ったカネが賄賂だとフランス司法当局の捜査を受けても変わらなかった。五輪開催地の会長が、スイスのIOC本部に行くと、逮捕されかねない。つまり、IOC本部に行けないというとんでもない状況であるにもかかわらずです。『日本での調査は終わったからシロ』と口にするだけの竹田会長。『これじゃダメだ』とJOCの幹部は、頭を抱えていた」

 竹田会長の思惑とは反対に、着実に追い込まれていた。東京五輪の開幕1年前のイベントにIOCのバッハ会長が出席しないという。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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