籠池泰典被告(写真/今西憲之)
籠池泰典被告(写真/今西憲之)

 学校法人「森友学園」を巡る補助金詐欺事件で、詐欺などの罪に問われている籠池泰典被告と妻の諄子被告の初公判が3月6日、大阪地裁で行われた。

 泰典被告は起訴内容の大半について無罪を主張。

 安倍晋三首相や昭恵夫人との親密な関係で、森友疑惑の渦中にあった籠池夫妻。法廷でも“籠池砲”は健在だった。

「国策捜査そして国策逮捕、国策勾留は絶対、許せません」と泰典被告がぶっ上げたのだ。

 森友学園が計画していた、瑞穂の国記念小学院については「小学校の建設、開校については多くの同志といえる政治家の方々が賛同し安倍首相・昭恵夫人の応援協力で一緒につくりあげていただいた」と強調した。

 だが、2017年2月、国有地値引き問題が飛び出すと、

「安倍首相は自らの保身にカジを切りました」

 そして、2017年7月に補助金詐欺などで、逮捕されたことについて安倍首相や昭恵夫人に「忖度」した国策捜査と厳しく批判した。

「安倍官邸からの意向と官邸への忖度により財務省が動いた」

「国民の目をそらすための別件逮捕したのです」

 と語ると、泰典被告は証言台から検察側をにらみつけた。そして、こう続ける。

「昭恵夫人と親しかった家内(諄子被告)をも様々な露見を口封じのため罪をつくりあげ、共犯として逮捕し、こともあろうか300日も勾留した」

「権力者への忖度はなかったのか」

 安倍首相や昭恵夫人、官邸に怒りをぶつけた。

 すると、検察側は「意見陳述とは関係ないことを話している」と猛烈に異議。

 裁判長が検察の異議を却下すると、再度、陳述をはじめた泰典被告。今度は、大阪地検特捜部の取り調べに利益誘導、違法捜査があったと訴えた。

「特捜部が私たち夫婦を標的に苛烈な捜査」

「検事は『貴方が経営に戻らないと学園がつぶれてしまう』『(幼稚園の経営を引き継いだ泰典被告の)娘さんではダメだ』とか『奥さんも本当のことを話してほしいと言っている』『本当の事を早く話して、経営に戻った方がよい。そうした人もいた』とか『民事再生のためにも(取り調べに)答えた方がよい』とか拷問とも思える言葉を発していた」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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