6年前に、日本でいち早くスマイルを導入した北里大学病院(相模原市)眼科の神谷和孝医師(医療衛生学部教授)は、この治療について次のように説明する。

「角膜を大きく切らないため、術後の痛みやゴロゴロした違和感が出にくい。また、涙の量を調整する神経のダメージが少ないので、レーシックでは多かれ少なかれ生じていたドライアイの合併症を起こしにくい」

 さらに、レーシックでは何年か経つと近視に戻ることがあるが、スマイルではリバウンドはなく、安定した視力を保てるという。

 ただ、レーシックは術後すぐに視力が上がるのに対し、スマイルは1週間~10日ほどかけて、ゆっくりと視力が上がる。このことを知らないで受けると、すぐによく見えないため、不安を覚えるようだ。

「いずれにしても、スマイルはレーシックのようなデメリットが少ない。今はレーザー近視矯正手術を希望される患者さんのほとんど全員に、こちらを勧めています」(神谷医師)

 レーシックとスマイル、両方の治療を行う名古屋アイクリニック(熱田区)院長の中村友昭医師は、「例えるなら、レーシックは開腹手術。スマイルは内視鏡手術で侵襲は少ない」という。

 同クリニックでは両方の治療を説明した上で受けたいほうを選んでもらっているが、スマイルを選ぶ人は年々増え、今ではその比率は4対1ぐらいでレーシックより多いという。

「レーシックは怖いけど、近視矯正治療は受けたいという方がスマイルを選ぶ傾向があります」(中村医師)

 日帰り手術で、施術時間は片眼5~10分。目の麻酔が切れるまでは安静にし、その後は自宅に戻れる(運転は不可)。自費診療で費用の相場は両眼で30万~50万円。レーシックより若干高めの設定が多い。

「スマイルは近視だけでなく、乱視の矯正も可能です。しかし、強度近視(屈折力マイナス6ジオプター超、およそ0.05以下の視力)には向きません。適応はレーシックのガイドラインに準じていて、18歳以上。当クリニックでは20歳以上です。年齢の上限はありませんが、老視が始まる前の、40代ぐらいまでに受けたほうがいいと思います」(同)

次のページ