安倍晋三首相(c)朝日新聞社
安倍晋三首相(c)朝日新聞社

 政界の一寸先は闇。希望の党の大失速で衆院選は迷走、自公が300議席を超える情勢だ。このままだと安倍3選は確実となり、国会はオール保守の「安倍大政翼賛会」と化す悪夢も……。果たしてそれでいいのか。

「最終日、秋葉原に立つよ。リベンジだ!」

 安倍晋三首相は選挙戦最終日の21日、東京・秋葉原で街頭演説を行う意向を側近に伝えたという。

 都議選最終日(7月1日)の街頭演説で、市民団体の「辞めろ」コールに“逆切れ”した安倍首相は「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と発言し、歴史的大敗となった。

「秋葉原のトラウマ」と官邸で呼ばれる曰くつきの聖地での演説は、「避けたほうがいい」と心配する声も出たが、首相はやる気満々という。

 政府関係者が首相の強気の背景をこう語る。

「10日に出た情勢調査は『自公で300議席超えの勢い』という結果でした。すぐに麻生太郎財務相や二階俊博幹事長らに連絡が行き、引き続き安倍政権で改憲を最優先に北朝鮮有事対応にあたることなどが確認されました。選挙が終われば、二階幹事長に『安倍3選』をアナウンスさせ、安倍政権続投の段取りが密議されました」

 一時はポスト安倍の筆頭候補とされ、小池百合子氏との連携も取り沙汰されていた石破茂元幹事長は安倍3選で外堀を埋められつつある。

「解散直後、安倍首相を批判した石破さんは当面は“蟄居(ちっきょ)”でしょう。同じくポスト安倍の岸田文雄政調会長も身動きが取れず、沈黙せざるを得ない。党内政局は当面はない」(総裁派閥の細田派議員)

 対照的に野党第1党だった民進党が合流した希望の党は、小池代表の「(民進党リベラル派の)排除」発言以降、失速が著しい。排除された枝野幸男氏らが立ち上げた立憲民主党のほうが勢いがある。

「9月下旬では自民80減という予測だったが、希望の自爆でオセロゲームのように情勢がひっくり返った」(自民党幹部)

 その野党は森友・加計疑惑の批判を選挙戦で連日、繰り広げているが、「自民が圧勝すれば、禊(みそぎ)は済んだものと捉える。選挙後、すぐ加計学園の獣医学部の認可発表の準備に入るという情報も出ている」(政府関係者)という腹積もりだ。

 反アベノミクスで消費増税の必要性を訴える自民党勉強会に所属するベテラン議員はこう吐き捨てた。

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