「九州は、男性優位で亭主関白のイメージがあります。ただ、妻からすると、外で夫を立てるけれど、実は『私がリーダーよ』という感じ。男性は奥さんの手のひらの上で、偉そうにしているんです」(矢野さん)

 婚姻件数のうち、外国人が夫の比率は沖縄が高い。基地の影響で、米兵と結婚する女性が多いからとみられる。東京、京都、神奈川、大阪など都市部が上位なのも、外国人の多さから言って順当だろう。

 興味深いのは、外国人が妻の比率は愛知や岐阜が高いこと。三重(2.9%)、静岡(2.7%)も高い。中部が高いのは、なぜなのだろうか。

「以前、都道府県別のフィリピンパブの店舗数を調べたことがあるのですが、外国人妻の比率の上位と見事なまでに一致しますね」

 こう話すのは、『出身県でわかる人の性格』の著者で、出版プロデューサーの岩中祥史さん(66)。

 本当に関係があるのか、記者も調べてみた。法務省の在留外国人統計によると、15年末時点で「日本人の配偶者等」の国籍で最も多いのは中国で、全体の約24%。約20%のフィリピンは2番目に多い。

 フィリピン国籍の人数を、都道府県別に人口千人比でみると、岐阜が約5.2人と全国1位。愛知、静岡、三重が次いで多く、いずれも全国平均の約1.8人より高い。パブの店舗数ではないが、確かに一致する。出会いが多ければ、国際結婚も多くなるはずだ。

 デキ婚率とは、第1子出生数のうち、結婚期間が妊娠期間より短い出生の占める比率。厚生労働省が一定の仮定を置いて、09年のデータで推計した。研究者は「妊娠先行型結婚」と呼ぶ。やや古い数字だが、沖縄が最も高く、上位は九州と東北だった。

 結婚すると、全国的には約96%の夫婦が夫の氏を選ぶ。ただ、地域によっては、「婿入り婚」「婿取り婚」と呼ぶ形式もある。妻の氏になる率は、岩手、山形、秋田と東北が高く、長崎、宮崎、佐賀、鹿児島と九州が低い。両地域が鮮明に違うのはなぜか。

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