私は副知事時代に千代田区の参議院議員宿舎の建設を中止させたのですが、このことが同区選出の内田氏のメンツを潰した。12年の都知事選の際、党本部が私の支援を決めているのに都連は動かず、ポスター貼りもしてもらえませんでした。内田氏が都知事候補の公認権を事実上、握っているのです。もちろん私も根回しを試みましたが、内田氏やその側近議員は電話にすら出てくれませんでした。

 13年の都議選では自民党候補者は全員当選し、内田氏の権力はより強まった。この年の12月、私は徳洲会からの5千万円の借金について都議会の総務委員会で長時間、吊るし上げのような追及を受け、辞任を余儀なくされました。あくまで個人の借金のつもりでしたが、都政の停滞を避けるためにはやむを得なかった。背景には私と都議会自民党との長年の“因縁”があったのですが、メディアはそうした視点で報じませんでした。

 今回の都知事選では、どの候補も政策に大差はない。本当に有権者が見極めるべきは、歪んだ権力構造を打破して都政を透明化する実力がある候補者は誰かということなのです。(本誌・小泉耕平、上田耕司、牧野めぐみ/今西憲之)

週刊朝日 2016年7月29日号