「ISが派遣したテロリストというより、ISに共鳴したホームグロウン・テロの可能性が高いのではないか。これまで世俗主義者や同性愛者がターゲットにされてきたが、バングラデシュ政府が断固として対処してこなかったツケが、今回のような大規模なテロにつながったと思う」

 最近も、バングラデシュ当局は1971年の独立時の戦争犯罪を裁き、イスラム保守政党のイスラム協会の党首など野党幹部らを死刑に処している。政府への反発は高まるばかりだ。

「当局に弾圧された野党支持者が地下に潜り、ISが乗じる空隙をつくることになった」(元外交官)

 軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏も警告する。

「世界中のISのシンパが『次は俺たちだ』と手ぐすねを引き、計画が具体化したところから犯行に及んでいる。空港や高級ホテル、リゾートなど富裕層の外国人が集まる場所が危ない」

 アジアで発生した類似事件は今年1月、インドネシアのジャカルタで起きたテロだ。五輪を控える日本が標的となる可能性はあるのだろうか。黒井氏が続ける。

「海外で日本人が巻き込まれる事件は増えるだろう。だが、あくまで狙いは米国やフランス。国内に関係勢力がなく、銃器の調達も困難な日本では本格的なテロが発生する可能性は低い」

 テロはとどめようもなく、拡散し続けるのか。

週刊朝日  2016年7月15日号