舛添要一氏 (c)朝日新聞社
舛添要一氏 (c)朝日新聞社

 自公が担いだ舛添要一東京都知事の“セコい”スキャンダル。参院選や都知事選が迫る中、“舛添ショック”は政界にどんな影響を与えるのか。「国会通信簿」でおなじみの東大教授(社会経済学)の松原隆一郎氏と青山学院大特任教授(政治学)の御厨貴氏が、都知事の裏事情を語った。

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御厨:舛添要一・東京都知事が辞職しましたが、あまりにもセコい話。猪瀬直樹前都知事に続く“政治とカネの問題”ではなくて、“日常生活スキャンダル”です。本来は追い込まれたところで、自民党のほうから「リオまではやらせよう」と促すことが大人の筋書きでしたが、涙ながらに舛添氏が「リオ五輪までは……」と続投を懇願して、全部ダメになった。

松原:リオ五輪を人質にとるのかと逆に都民を怒らせてしまった。昔から舛添氏を知っていますが、彼は自分から仕掛けないと気が済まないタイプ。30年ほど前ですが、「今日、FRIDAYされるんだ」とうれしそうに言っていた。つまり、自分でFRIDAYの記者を呼んで、結婚前に片山さつき参院議員と新幹線に乗るところを撮らせていた(笑)。自分から仕掛けることに自信があるのでしょう。またデュープロセスにのっとることが最重要という信念の持ち主でもある。「法に反していない」なら、道義は二の次なのでしょう。

御厨:国民や都民に選挙で選ばれた自分が、こんなに脆(もろ)いものだとはわかっていなかった。よほどうまく管理していかないと、今は危ない時代なんですけどね。

松原:都税をどのくらい使ったかということでしたら、石原慎太郎元都知事のほうがひどかった。居場所だって、舛添氏は湯河原とわかっていましたが、石原氏は週2日の登庁以外雲隠れして、どこにいるのかわからなかったと言います。

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