「中央構造線の断層で地震が起きたら、8メートルぐらいの横ずれが起きてもおかしくない。2008年の岩手・宮城内陸地震で4022ガルを記録しているわけですから、原発は2千ガルぐらいを見込まないといけない。最悪の想定をすべきです」

 ところが現実に目を向けると、原子炉の耐震設計の基準となる基準地震動は実際に起きた地震の大きさに伴っていない。

 そのうえ、万が一原発事故が起きたときの住民の避難経路さえ不十分だ。伊方も川内原発も、山と海に挟まれた道が塞がれたら逃げ場がない。伊方原発をとめる会の和田宰氏は言う。

「船で九州に避難する計画ですが、津波が来たら港は使えず、住民は被曝してしまう。原発再稼働に脅威を抱いています」

 地震学者の島村英紀氏が予測する。

「地震、火山国の日本には活断層が2千個、不明なものも合わせると全部で6千個あると言われています。そんなところで原発や放射性廃棄物を数万年にわたって管理すること自体が無謀なのです」(桐島 瞬)

週刊朝日  2016年4月29日号