「週刊新潮で報道されることがわかった後、党幹部の集まりでは党のイメージを損なったとして、厳しい意見もあったそうです。それが、雑誌の発売日前に吉良さんがツイッターで交際宣言をし、雑誌が本屋に並ぶころにはネット上で祝福ムードになっていた。独身の男女が路上でキスするぐらい、健全じゃないかと。祝福ムードに押されて、党内でも処分なし。昔の共産党では考えられないことです」

 各党が苦悩するネット選挙でも、共産党は他党の一歩先を行っている。

 ネット選挙解禁となった13年参院選では、共産党の政策を伝える「カクサン部!」を発足させた。共産党らしからぬ「ゆるキャラ」を次々と生み出し、他党のPR担当者の度肝を抜いた。なかでも人気を集めた「雇用のヨーコ」は「ブラック企業にお仕置きよ!」というフレーズとともに雇用問題を訴えた。宣伝局長の田村一志氏によると、「アクセス数は10~20倍に増えた」と話す。05年に約85億円をかけて建設した共産党の本部ビルは、1階部分は自由に出入りできて、「開かれた党」のイメージを打ち出している。

 もちろん、共産党への支持が増えているのは、時代背景もある。特に、安倍政権になってから、共産党を支持する人たちの層が変わってきているという。

 共産党は政党助成金を受け取っていないことで知られるが、それができるのも「しんぶん赤旗」などの党機関紙や書籍の販売収入があるためだ。その額は13年度で約196億円で、全収入の87%を占める。ちなみに、赤旗の購読者数は約124万人で、うち週刊紙の「しんぶん赤旗日曜版」が約100万人。週刊紙では日本最大の発行部数だ。共産党の党員は約30万人だから、共産党関係者以外の購読者も多い。日曜版の山本豊彦編集長は言う。

「安倍政権が発足してから、紙面に登場してくれる人に変化がありました。自民党の古賀誠元幹事長や元自衛隊員などが実名で登場しています。良心的な保守派の人たちは、今の安倍政権は、これまでの自民党政権と比べて異質なものだと認識しているのでしょう」

 紙面には芸能人も登場し、俳優の藤原紀香さんのほか、笑福亭鶴瓶さんが憲法9条について語ったこともある。

(本誌・西岡千史)

週刊朝日 2015年11月27日号より抜粋