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 クラシック界の大御所、小澤征爾氏の80歳の誕生日を祝い、長野県で9月1日、有志による祝賀公演が開催された。世界中から超一流のアーティストたちが友情出演で集結。中には異色の、シンガー・ソングライターであるジェイムス・テイラー氏の姿もあった。その経緯を本人が語ってくれた。

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――小澤氏とのご縁は?

「僕の妻がボストン交響楽団のPRの仕事を長い間してきた仲でね。彼が僕を友達として思ってくれたのは光栄。過去2度ほど共演したこともある。今回、招かれてとても嬉しい。日本の文化にも興味がある。日本人の考え方や共存の仕方は、他の国と全く違っていると思うから、日本に行ってそれをより深く理解できればと思う。今回は松本に行ってゆっくり温泉にもつかりたいね」

――キャリアは50年以上になりますが、若いころと現在では、異なりますか?

「年を取って驚かされることは、自分は内部では昔とちっとも変わっていない、という点だ。17歳のころと同じマインド、音楽的な感覚、嗜好を持っている。若いころは自分を表現したい、人に聞いてもらいたいという衝動が強かった。時が経つにつれて、その衝動というのは薄れた。今は忍耐強く、曲が出てくるのを待つようになった。年を取って得たことといえば、曲をうまく書けるようになった点だ。自分のやっていることを細部まで理解でき、いまだに進化し続けている」

――ニューアルバムを今年、リリースしましたが、13年ぶりだそうですね?

「今回久しぶりに新曲を書きレコーディングするという作業はやりがいがあって楽しい。新曲を書くために、気持ちを一新する必要があった。一人になって自己に厳しくなることが必要だったね」

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