「言葉も習慣も何もかもが違う場所で、心は恐怖に押しつぶされそうでした。でも、あるとき『怖い』と思ってる自分を受け入れたら、一歩前に進めた気がしたんです。私は日本語も話せない。決して完璧な人間じゃない。でも前進するんだ。そう思って、カメラの前に立って、その日の役を演じ切る。それを続けていくことで、少しずつ、恐怖から解放された。無我を少しずつ積み重ねていくうちに、逆に、自分という人間を深く知ることができたんです。前に進むということは、つまりそういうことなんだと思います」

 失敗を恐れない。その生き方が、今の彼女の明るさや強さの原点になっているのかもしれない。

「誰でも失敗は怖い。でも、人生で最悪のことがあるとすれば、それは“死”だと私は思います。どっちにしろ人は死ぬ。だったら、やりたいことをやったほうがいい。私だって、答えを持って進んでいるわけじゃないから、ときには、“私今どこにいるの?”って思ったりしますけど(笑)」

週刊朝日 2015年9月4日号