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 今年5月、今井美樹がデビュー30周年の幕を開ける「Colour」をリリース。自身のアルバムを絵にたとえた。

「最初、バラードっぽいシンプルな曲を3曲、ミックス担当の人に渡して、あがってきたものを聴いたとき、驚いたんです。曲が一枚の絵だとしたら、景色に奥行きがあって、そこに吹く風や、光を反射してキラキラ輝く空気の粒までイメージできるような気がして……。私は、自分の声にコンプレックスがあって、あぁ、またこんなふうになっちゃったって、力不足にネガティブな感情を抱いている部分もあったんですけど、もう最初からこう歌いたかったように聴こえた。魔法がかかったみたいでした」

「Colour」は、制作拠点をロンドンに移して、初めてリリースされたオリジナルアルバム。今井さんは、スタッフとの出会いも含め、ロンドンでしか、今の自分自身でしか生まれなかった音になったと断言する。

「私はシンガーで、自分で曲は作らない。でも、表現者である限りは、オリジナルアルバムを出すにあたっては、伝えるべきものや、身体から湧き上がる何かがないと作れないと思いました。ロンドンでは、たとえば一本の木が、四季折々に変化していく様子とか、そんな当たり前のことが、とても愛しく感じられて……。何でもない日常にこんなカラフルな色があって、こんなカラフルな思いが湧くんだって、自分の心が、新しい眼差しを持ったような気がしました。今回は、そんな感情のひとつひとつに刻印を押した感じかな。結果的に、“歩き続けてさえいれば、どこかに辿り着けるかも”みたいな内容の曲ばかりになってしまいましたけど(笑)」

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