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 漫才協会名誉会長も務める漫才師・内海桂子(うつみ・けいこ)と、結婚後師匠のマネジャーに転身した成田常也(なりた・つねや)夫婦。ともにおとめ座で、戌(いぬ)年。とはいえ、この9月で妻は93歳、夫は69歳。さらには、お互い、“初婚”。こんなことも話しているという。

*  *  *

妻:好江が亡くなってひとりぼっちになっちゃったから、「あんた漫才、やんない?」って誘ったんだけど、「嫌だ」って。今でも私はこの人を漫才師にしたいんだけど。

夫:嫌ですよ。素人をつかまえてご冗談を(笑)。

妻:え、最近はときどき舞台に出てくんじゃないよ。

夫:あれはね、しゃべるためじゃなくて、やめさせるために出ていくんですよ(笑)。師匠は一人で漫談や都々逸やったり踊ったり、ほっとけば持ち時間超えていつまでもしゃべっている。だから三味線を取り上げに出るんですよ。

妻:あら、そおおお。

夫:第一、いまだに芸には厳しいから、私はついていけません。

妻:そりゃそうよ。考えてみりゃ、私より古い芸人はもういないでしょ。

夫:当たり前ですよ!(笑)

妻:人に頼れないから厳しくしなきゃなんないのよ。私は言ってみれば、相方が誰でも漫才やれるのよ。またね、若い芸人は私とやってどんどん芸を覚えるんですよ。たとえばね、「あそこを見てごらん」というせりふがあるでしょ。そのとき、ただ指さすだけじゃだめなのよ。「目でもの言え」「体で字を書くんだよ」「手でもの言うの」って私は教えるの。ナイツ(お笑いコンビ)なんて、次はそのとおりにやっているわね。だから、伸びる。そこへいくと、あんたは……。やっぱりマネジャーで、横文字の先生どまりだわね(笑)。

週刊朝日  2015年7月3日号より抜粋