17日に住民投票で否決された「大阪都構想」。大阪府・大阪市特別顧問の堺屋太一はその敗因に住民の微妙な感情があると分析する。
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大変僅差(きんさ)の結果となった住民投票ですが、敗因は自民をはじめとする既成政党など反対勢力をひとつも味方にできなかったことだと思います。それぞれに利権も因縁も思い込みもある人たちが、別々の理由で「とりあえず反対しておこう」という気になった。問題点は後で修正するからとりあえず賛成となれば、違う結果になったでしょう。
若い世代に都構想が必要と考えてくれた人が多かったようですが、なんとなく変えたくないという、高齢者の感情もありました。
橋下徹さんに住民投票の約1カ月前、各紙の世論調査で劣勢が報じられているときに大阪で会いました。
「厳しい数字が出ているけど、都構想の中身がしっかり市民に伝われば、必ず賛成してもらえる。問題は時間。投票日までに幅広く浸透させられるか」と険しい表情で話していたのを覚えています。
橋下さんはどんな人?とよく聞かれるのですが、とにかく愛郷心の強い人。そして先の見える人。10年先、30年先を考えられる人だと思っています。