今の朝の時間帯のテレビは、なんだかお行儀が良い。でも、僕は物足りない。僕の番組では、言い訳は本人に出てもらえばいいというポリシーでした。僕は専門家じゃないから聞き役になって、視聴者が感じる疑問を本人に徹底的に投げつける。第1次内閣で支持率が落ち込んでいたときの安倍首相に出てもらったこともあります。歴代内閣の中でこんなに支持率が低い、というフリップまで作った。それでも安倍首相は「真摯に受け止めます」という態度で、こうなると責めようがない。大したものだと思いましたよ。今の番組には、なかなかそんな駆け引きがない。なんで?と、歯がゆい思いで見ています。

 放送とは、両方の意見をきちっと出して比べて、テレビを見ている人に判断してもらうものです。僕の場合、自分で判断してよく怒られていましたが(笑)。それでも「圧力」なんてなかった。局の偉い人のところにはあったのかもしれませんが、跳ね返したでしょう。息子の不祥事で番組を引きずり下ろされたとき、「何かあったらやられると思っていたけど、やっぱりやられたね」と言う人がいたけど、これは僕にもよくわかりません。

 自民党がテレ朝幹部を党本部に呼んで事情を聴いたことが話題になりました。放送の許認可の権限を持つ政権与党が「話が聞きたいから来い」と言ったのだから、多くの人は圧力だと思うでしょう。政府にとってマイナスだったと思いますし、自民党にも後悔している人がいるでしょう。

 ただ、「これで『報ステ』も圧力で潰される。次は……」と騒ぐのもおかしいと思う。それよりも、誰が圧力をかけたのか探ってみようという特集が見たい。権力にあくまでも対抗していくという気持ちがないと、報道もおしまい。現場の人には、それを肝に銘じて頑張ってほしいです。

(構成 本誌・小泉耕平)

週刊朝日  2015年5月22日号