市長が「市民を侮辱するような取り調べ」を受けたというのは以前から報道されている通り。私も以前に取り調べを受けた経験があるが、さすがにマスコミ露出も多い私にそんな屈辱的な取り調べをするとマズイと思われたのか、私の場合は紳士的な扱いであった。

 とはいえ人間というのは嫉妬に駆られる生き物である。そういう意味で若くして市長になった容疑者に対して、ここぞとばかりに自分の嫉妬の感情を爆発させてしまったのかもしれない。勾留も長期にわたったが、藤井市長は、よく耐えたと思う。

 今回は、検察の暗部を鋭くえぐっているヤメ検でもある郷原信郎弁護士がついたこともあって被告側の勝利に終わった。検察は控訴するらしいが、地裁判決を読む限り、覆すのはかなり厳しいと思う。

 暴走する警察・検察に、以前は裁判所も追随していたが、世論の変化をみて裁判所も推定無罪の原則に戻りつつあるのではないかと思う。以前は検察が起訴した案件は有罪が基本という感じであったのだが……。

 この問題で噴出したマイナス面は、政治の世界は少しでも脇が甘いことをすると、すぐに当局からこのような攻撃を受けてしまうということがわかったことである。

 たとえ無罪が確定したとしても、若い人たちが政治に参加しようという意欲を奪ってしまう行為だったと思う。それも現役の市長を狙ったのだ。市政がストップする影響も大きかっただろう。警察・検察はこの無罪判決を重く受け止めて再発防止策を練るべきではないだろうか。

週刊朝日 2015年3月27日号