27日の予算委でも民主党の後藤祐一議員が「カネまみれ政権だ」と批判。すると安倍首相は「とんでもない決めつけだ。少し言葉には気をつけたほうがいい」と声を荒らげて反論した。一方的な「決めつけ」による批判は許さない──だが、実は首相自身もやっていた。

 20日の予算委で「日教組は補助金をもらっていて、教育会館から献金をもらっている議員が民主党にいる」と自信満々に答弁。しかし、そのような事実はなかった。後日、首相は「私の記憶違いで、正確性を欠く発言をしたことは遺憾で訂正する」と謝罪した。その首相が「決めつけだ」と相手を批判しても、説得力に欠けてしまう。

 民主党幹部は衆院の各委員会の理事に、閣僚らのスキャンダルを徹底的に調べるよう指示。一気に安倍内閣のイメージダウンを狙う。

 自民党と連立政権を組む公明党も、今回の「政治とカネ」には冷ややかだ。

 井上義久幹事長は「国民の政治不信を招く、大きな要因になっている」と不快感を示した。西川前農水相らが「献金をしてくれた企業が、国の補助金を受けていたとは知らなかった」と説明している点についても、「政治に関わる仕事をしているのだから、法律はきちんと掌握し、報告にも責任を持つことが問われている」と突き放した。

 支えるはずの連立パートナーからの苦言。ある自民党ベテラン議員は「自民党が守勢に立たされていることに乗じて、公明は連立の主導権を奪う気ではないか」と指摘する。

「昨夏の集団的自衛権の閣議決定をみてもわかるように、今の連立政権は終始、安倍さんのペースで進んでいる。『平和の党』を掲げる公明は面白くないし、存在感を発揮したい。今がチャンスと見たのではないか。安全保障法制をめぐる与党協議でも公明はブレーキ役になっている。戦後70年の談話発表や憲法改正に意欲を見せる安倍首相ですが、今後は自分のペースで政策を進められないこともあるかもしれません」

 別の自民党議員は「統一地方選が終わった5月からが正念場」と漏らす。小渕前経産相や元秘書らへの本格捜査が始まる可能性があるからだ。

 東京地検特捜部は昨年10月末、政治資金規正法違反容疑で、小渕氏の元秘書で前群馬県中之条町長の折田謙一郎氏の自宅や、小渕氏の政治団体の事務所など関係先を家宅捜索している。

 その際、複数のハードディスクが電気ドリルで穴を開けられ、ディスクはすでに使えない状態だったとも新聞各紙で報じられた。

「特捜部は家宅捜索はしたものの12月は衆院選、4月は統一地方選があるので、本格的な捜査は控えるはずです。でも5月からは〝解禁〟となる。小渕氏の政治団体の収支報告書は支出が収入を大きく上回り、05〜13年の差額が計6千万円を超えているなどズサン。捜査が再開され、万が一、逮捕者が出れば、政権や党へのダメージは計り知れない」(前出の議員)

 どこまで続くぬかるみぞ。

週刊朝日 2015年3月13日号