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 日本の子ども(18歳未満)の6人に1人が貧困──。厚生労働省の2012年の調査で、そんな結果が明らかになった。派遣やパートなど非正規社員の増加で、戦後の「一億総中流」という豊かさが失われていく。なかでも格差社会の現場で、「子どもの貧困」が深刻だ。

 貧困への理解が進まない要因のひとつとして、学校現場の問題を指摘するのは、日本大学の末冨芳・准教授(教育行政学)だ。忘れ物をしたり、遅刻を繰り返したりする子どもがいる場合、教師は「前日に準備しなさい」「きちんと起きなさい」と生活指導をするのが常だ。

「実は母親が一日中働いていて、朝は起こしてくれないのかもしれない。忘れ物も、文房具を買えないのかもしれない。校外学習に行きたくないと嫌がる生徒も、実は参加費の数百円が用意できないのかもしれない。多くの教師がそこまで思いが至らず、『ちょっと困った子』ということで終わってしまう」(末冨准教授)

 生活保護世帯の情報が、各教師に伝えられていないケースも多く、北陸地方の小学校教諭の男性(34)は「学校現場では、親に面倒を見てもらっていない子はわかる。髪が寝癖だらけだったり、服が洗濯されず汚れたままだったり。けれど、そこに貧困があるかどうかまで見分けるのは難しい」とこぼす。末冨准教授は、

「大学の教員養成課程や、教員の研修で、貧困の現状について学ぶ機会をつくるだけで、ずいぶん状況は変わるでしょう。貧困に気づけば、ケースワーカーや医療機関、福祉施設と連携することができ、子どもの生活を支えることにつながります」

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