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 内閣府の2014年の調査によると、農山漁村への定住を望む60代以上の割合は約3割。10年前に比べて2倍近くに増えたとはいえ、都市部を選ぶ人の半数以下にとどまる。株式会社リクルート住まいカンパニー(RSC)が13年に60代と70代に実施したアンケートでも、都市部を選ぶ人は田舎の倍程度という結果が出ているが、データをさらに詳しく分析すると、意外な傾向が見えてくる。

 その一つが「男女差」。男性は田舎派と都市部派はほぼ同数だが、女性は都市部が田舎の3倍近い。

「子どもが独立し、介護する親が高齢者向け住宅に入るなどして、『ようやく自分の時間ができた』『第二の人生は好きな観劇を楽しみたい』と考える都市部志向の女性たちが団塊世代を中心に増えています」(住宅・不動産の情報サイト「SUUMO[スーモ]」の池本洋一編集長)

 千葉県の主婦(65)はまさにその意識差を物語るケースだ。自宅は35年ほど前に購入した習志野市内のマンションだが、自力で手に入れたJR船橋駅から徒歩3分の分譲物件を“今後の生活空間”と考える。

 15年前、大学に入った長男が「家を出たい」と言いだした。月々の返済額が家賃とほぼ一緒で、営業マンが「駅近だから賃貸に出せば結構な家賃収入になる」と宣伝した部屋だ。

「老後の年金にも不安があったし、買っちゃおうと」

 だが夫は大反対。当時看護師をしていた主婦が「私が払う!」とタンカを切り、少しずつ貯金しては繰り上げ返済に励んだ結果、退職目前の62歳で完済した。長男が結婚して退去して以降は自分のセカンドハウスにしている。

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