本誌連載の「おすすめアプリ生活」で今週、ライターの小幡恵が推薦するのは、「出前館」というアプリ。

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 昔ながらの蕎麦屋の出前に、いまやお馴染みの宅配ピザ。どちらにしても、あたたかい食事を家まで届けてくれるという出前システムは、今も昔も単に「便利」というだけではなく、なんだか「ちょっとぜいたく」「ちょっとうれしい」。やっぱり出前は「ハレ」なのだ。

 昭和の昔、「お客様が来るから、うな重の出前を取りましょう」なんてことになれば、家族は「お相伴」を期待してなんとなくワクワク。今だって「よーし!今夜はサッカーワールドカップの日本戦だからピザでも取ってみんなで応援しようぜ」となれば、簡単に盛り上がれる(盛り上がらないヤツとはお友達になりたくないです)。

 こうした「出前」の楽しみをさらに広げてくれるのがこのアプリだと思う。自宅、または現在地に出前をしてくれる店がすぐにわかる上、ピザ、中華、洋食、エスニックなど、あらゆる分野の「出前可能店」を教えてくれる。もちろん画面でメニューや定価がわかる。名前、住所、電話番号を登録しておくと次回からの注文は電話オーダーよりさらに簡単だ。配達時間指定、クレジットカード決済も可能な店が多く、ネット注文限定のクーポンやポイントプレゼントなども用意されている。

 さすがに個人経営の昔ながらの「蕎麦屋」「寿司屋」といった店の登録は少ないが、かなりクオリティーの高い中華、寿司、洋食店にも対応している。

 店で食べるよりも一般的に割高になるのは事実だが、たまの休日に夫婦で「きょうはテレビで映画見ながら宅配取ってみない?」というのも楽しいのでは。一見「手抜き」だが、フレンチや中華、エスニックなどを自宅で試してみるだけでも小さな「ハレ」のイベントになる。

 出前館はネットスーパー、ハウスクリーニングなどにも対応しているので、登録しておくと利用の幅が大きく広がる。

週刊朝日 2015年1月30日号