指摘に正面から反論するでもなく、もう決まったことだから覆すなという。これでは「安全神話」に寄り掛かった3.11前と変わらない。

 モニタリングの主体が電力会社とされていることにも、複数の火山学者から疑問の声があがっている。噴火予知連副会長で検討チームに参加する石原和弘・京都大学名誉教授がこう語る。

「何かの前兆があって電力会社が原発を止めても、10年、20年たっても噴火が起こらないことも考えられる。その場合、原発を止めたことによる損失を株主にどう説明するのか。何が巨大噴火の前兆かという明確な基準もない中で、原発を止める判断が本当にできるのか」

 地下のマグマが一気に大量噴出するカルデラ噴火について、前出の藤井氏はこうも語る。

「そもそもカルデラ噴火の研究はまだほとんど進んでいない。私が座長を務めた内閣府の検討会で昨年5月、国が体制を整備して調査研究を始めるべきだという提言を出したところです。いつか起きるのだから、今のうちに対策を考えておくべきです」

週刊朝日 2014年10月17日号より抜粋