野党として目立った役割を果たせていない民主党に、作家の室井佑月氏は「だらしない野党のみなさんにむかついている」と怒りをあらわにする。

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「永田町恐怖新聞」というのをご存知か? 参議院議員の山本太郎さんが作っている新聞だ。早く第2号が出ないかと、心待ちにしている。

 この新聞はインターネットで見ることができる。そして、この新聞を良いと思った人は、自分で印刷し、友人や知人などに配って広めてくれ、ということみたい。もちろん、独りでこっそり読むのもありだけど。

 あたしはさっそく印刷し、友人に配っちゃったよ。

 永田町恐怖新聞には、現政権のおかしさがわかりやすく書かれてある。

 たとえば、「安倍総理と自民公明連立政権からあなたへ(音符マーク) 心を込めたプレゼント(ハートマーク) もう届きましたか?!」という見出しの内容は、消費税8%に増税、国民年金保険料支払い増、高齢者医療費負担の増額などなど。

「これから先、安倍総理と自民公明連立政権が皆様に心を込めてお届けする贈り物(ハートマーク)」とは消費税10%だったり、残業代ゼロだったり、労働時間の規制緩和だったりする。

 紙面はカラフルで、薔薇の花や子どもが描いたような金髪のお姫様が。内容は真面目なのにね。

 いや、ただ真面目なだけじゃない。「心を込めたプレゼント(ハートマーク)」って、皮肉が利いているよなぁ。「あなたへ(音符マーク)」も笑かしてもらえる。これって重要なんじゃね?

 山本さんは自分の意見を聞いてもらいたいから、面白さというサービスをつけたんだ。ここんとこ存在感ゼロであるほかの野党のみなさんは、山本太郎を見習ったほうがいい。どうするんですか、これから?

 世の中になんの興味も示さなかった人が、気づかざるをえなくなるのを待ちつづけるってか。そん時は、あんたらが動いたってどうにもならなくなっていたりしないのか。

 そうなの、あたしはやりたい放題の自民党を超えて、だらしない野党のみなさんにむかついてきている。

 はっきりいって今、最大野党である民主党議員の男とつき合ったりしていたら、恥ずかしくて人にいえないレベルじゃね? つーか、政治家って恥ずかしくね? ということを、ご本人たちにわかってもらいたい。

 9月21日付の東京新聞に、「国会議員の文書交通費 提言放置 使途公開せず」という記事が載っていた。

 議員の給与とは別の、文書通信交通滞在費(文書交通費)。領収書提出や使途公開の義務はないし、返還も不要だから、不適切な使い方をする輩がいて問題になっている。

 こりゃあ、議員のみなさんにとっては美味しいよな。手放したくないよ。自公がこの制度の見直しに消極的なのはわかる。そっとしておいて欲しいだろう。しかし、最大野党の民主党も見直しに消極的ってどうなの?

 わかりやすい対立軸がひとつ増えると大喜びする場面じゃないのか。選挙で落とされたらただの人、文書交通費ももらえなくなるんだよ! もらえなくなれ!

週刊朝日  2014年10月10日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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