「実家のかたづけ」。「どんなに物が多くても、親を責めたりせず、じっくり話を聞くのがポイント」としたが、言うは易し。記者が同居する母の部屋を実際にかたづけた体験を伝える。

 開始から4時間あまり。いよいよ終盤を迎え、最後のゴミ袋の口を閉じた。

 書類の入った棚やベッドの下など、まだ気になるところはあるが、「一度にやろうと思わずに」と「片づけ上手塾エグゼカレッジ表参道校」代表理事の渡部亜矢さん(48)。母も「これからはこれを維持しなくちゃ。残った分は自分でかたづけてご報告します」と張り切っている。

「やっと終わった!」

 不用品の数々を、いったんリビングに集めた。風呂場から体重計を持ち込んで、重さを量ってみた。

 洋服29.8キロ、バッグ類6.8キロ、ハンガー3キロ、衣装ケース8キロ、電化製品6.6キロ、CD・カセットテープ類8.8キロ、その他7.6キロ。総計70.6キロ。

 今回、渡部さんというプロの第三者が介在してくれたメリットの一つは、親子げんかに発展しなかったこと。記者と母は仲の悪い親子ではないが、たまには衝突する。

 記者は、かたづけを始める前、「きっと母は思い出の品の処分を渋るだろう」と予想していた。だが、母は捨てる捨てないの決断をする際、「思い入れはないのよ。ただ、まだ使えるでしょう?」と言うことが多かった。意外だった。現実的で案外ドライなんだと。情緒に流れがちな自分との違いを肌で感じ、妙な納得感があった。

 ふと、渡部さんの言葉がよみがえった。

「親子で一緒にかたづけすると、知っているようで知らない親の一面が垣間見えるんです。だから親子関係の修復にも役立ちますよ」

 あれから1週間。

 見違えるようにすっきりした母の部屋を、母の不在中にこっそり訪れ、改めて眺め、“孝行娘”の自己満足に浸った。

 クローゼットを開けると、渡部さんに指導されて、色別、種類別に分けられた衣類が整然と並んでいる。以前は「この年になると、洋服選びが面倒」と言っていた母。そういえばかたづけ終了後、「同じような色ばっかりね。今度は違う色味のものも買ってみようかしら」と、おしゃれも未来志向になった。かたづけって、すばらしい!

 そんな感慨に耽っている時、ふと、見覚えのある段ボール箱が鎮座しているのに気づいた。

 あーっ。

「思い入れはない」と豪語して捨てたはずのCDやカセットテープだ。やられた! 母は侮れない。

 ということで、ゴミ総量、正確には61.8キロでした。

週刊朝日  2014年9月26日号より抜粋