スイッチをONにすると、細いコードでつないだモーターが高速で回転を始め、紙をくりぬいて作ったプロペラが高く飛んだ。

 皇居のすぐそばにある科学技術館。8月6日、夏休み中の子どもたちが工作教室に詰めかけていた。モーターの中に入れる電池の向きは? どうすれば高く飛ぶかな? 夢中で工作をしながら、電池の仕組み、力の伝わり方を自然に学んでいく。小学1年と小学4年の息子たちを連れて参加していた母親(40)は、

「お兄ちゃんは授業で電池の話を聞いたばかり。遊びを通して、より興味が増してくれればうれしい」

 遊びながら、理系の知識を学ぶ――。ブロックのレゴ・エデュケーション社(東京都港区)も、2004年9月からそんなスクールを始めている。対象は3歳から小学5年生。デンマークに本社を置く同社の世界初の試みで、国内で16教室を展開。現在、中国や韓国にも広がっているという。

「無人島に着きました。木の実を割るハンマーを作ろう! どうすれば大きな力が出るかな?」

 8月7日夕方、東京都品川区の「レゴスクール」では、インストラクターに教わりながら、小学2年生の子どもたちがレゴブロックを積み重ねていた。完成したのは、テコの原理を利用したハンマーだ。

 レゴ・エデュケーション社の北川佳代さんは、

「数学的に結果を考えたり、立体的にものを見たりできるようになります」

 幼いころ、レゴに親しんだ親たちの支持が高く、理系の才能を開花させることに役立つとして、人気上昇中だ。小学3年のときから同スクールに通い、日大理工学部へ進学した富永有紀さん(18)も、レゴで理系に目覚めた一人。

「将来は、ロボット関係の仕事をしたい」

 と大学卒業後の進路を見据えている。この「将来の自分の姿を明確にイメージできる」ことこそ、理系人気の大きな理由だ。

週刊朝日  2014年9月5日号より抜粋