会見で、STAP細胞の有無について問われた改革委員長の岸輝雄・東京大学名誉教授は、遠回しな表現で「ないと思う」と答えた後にこう続けた。

「小保方さんが、やっぱり何もなかった、と言わない限り決着はつかない。どこかではっきり、ないならないと言わないと、科学としては成り立たない」

 会見に同席した委員の一人、市川家國・信州大学医学部特任教授は、理研で行われている検証実験が、小保方論文とは異なるやり方だから「意味がない」とバッサリだった。

「これでは、小保方さんの実験に不正があったかどうかという結論が出ない。やるなとは言いませんが……」

 提言では、理研統合生命医科学研究センターの遠藤高帆・上級研究員らが指摘した「STAP細胞は別の万能細胞だったのではないか」という重大な疑惑にも触れられていた。

東大と東工大のグループもそれぞれ解析して同じような結果が出ている。信ぴょう性はかなり高い」(委員の塩見美喜子・東大教授)

 ある大学研究者はこう解説する。

「今回の不祥事の原因は、理研の組織としての特殊性です。プロジェクトのリーダーが一国一城の主のようにふるまい、研究結果、予算などで外からのチェックが入りにくい。しかも、小保方さんは笹井さんのお気に入りでアンタッチャブル的な存在だった」

 さらに、提言にさきがけて、笹井氏と小保方さんの不可解な経費についても週刊文春で告発されている。

「小保方さんは、笹井さんという実力者にうまく取り入ったものだから、それが裏目に出たんでしょう。多くのスタッフが毎週、週刊誌を目を皿のようにして読んでいますよ(笑)」(前出の理研関係者)

 崩壊しつつある“科学者の自由の楽園”で、師弟は崖っぷちに立っている。

週刊朝日 2014年6月27日号