大友良英(おおとも・よしひで)1959年、横浜市生まれ。9歳から18歳までを福島で過ごす。ギタリスト、作曲科、映画音楽かなどとして多方面で活躍。海外での公演も多い(撮影/石野明子)
大友良英(おおとも・よしひで)
1959年、横浜市生まれ。9歳から18歳までを福島で過ごす。ギタリスト、作曲科、映画音楽かなどとして多方面で活躍。海外での公演も多い(撮影/石野明子)
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 NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の人気を支えるのが、音楽だ。おなじみとなったオープニングテーマを始め300を超す劇中曲を作り上げた音楽家の大友良英さん(54)に「あまちゃん」に込めた思いを聞いた。

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――「あまちゃん」のサントラ盤CDの売り上げが3万枚を超えました。

 反響の大きさにビックリです。オープニングテーマが流れると、赤ちゃんからまでテレビ画面にかじりつくっていうし、ハハッ。でも、今までの朝ドラにはないタイプの曲を書けたんじゃないかと思います。長年、ドラマや映画の音楽に関わっているけど、朝ドラは初めて。オープニングは「始まり始まり~」って紙芝居の掛け声のようで、しかも半年間聞かされても飽きない「お袋の味」的なものを目指したんです。

――跳ねるようなスカのリズムに、チャンチキのにぎやかな音色が盛り込まれ、元気になります。

 コメディータッチのドラマですから、何があっても前向きに。たとえユイちゃん(橋本愛)がグレでも、アキちゃん(能年玲奈)が大変でも、みんな人生いろいろあるけど、でも朝ドラぐらいは明るく始まれるようにね。ある人から「鬱状態だった母が、オープニング曲を聞いて笑った」と言われて嬉しかったなあ。いろいろなジャンルの音楽を混ぜることで「訛(なま)り」も表したかった。日本のちんどんがジャマイカ風に訛るような感じでね。方言がドラマの核になるから、そこも意識しましたね。

週刊朝日 2013年8月30日号