衆議院選挙を目前に控え、新党の設立や合併が相次いでいる。「国民の生活が第一」の代表だった小沢一郎氏(70)が持ち前の「豪腕」で嘉田由紀子滋賀県知事(62)を担ぎ、脱原発勢力を「日本未来の党」としてまとめ上げるなど、第三極の動きも活発だ。東大客員教授の御厨貴氏と、東大教授の松原隆一郎氏は、未来の党の誕生で日本維新の会が苦戦することになると予想する。

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御厨:このままいけば、未来の党は選挙でいい戦いをするんじゃないでしょうか。母体となる生活は、衆院だけで45議席を持つ野党第2党でしたからね。そのほとんどが衆院選で散るはずだったのに、未来の党という“防護服”を着たことで、一気に生き残れそうな勢いになっています。

松原:一時は10議席前後まで減るのではないかと見られていましたからね。信じがたいマジックです。

御厨:かたや、これまで第三極をリードしてきた維新の会は厳しくなりました。石原慎太郎前東京都知事(80)は男性イメージが強すぎるから、嘉田さんに女性の支持を根こそぎ持っていかれかねない。

松原:代表代行の橋下徹大阪市長(43)は主婦層に一定の支持がありましたが、石原さんとくっついたことで、その人たちもガッカリしたでしょうしね。

御厨:維新の会は12月16日の投開票日までに何か奇策を編み出して巻き返しを図るしかありません。新しい展開が始まると、その前に何があったかは忘れてしまいますからね。投開票日の直前に世間の耳目を集める打ち上げ花火を上げられたところに、票がドッと流れるんじゃないでしょうか。

週刊朝日 2012年12月14日号