女優人生77年。森光子さんが11月10日、その92年の生涯に幕を下ろした。週刊朝日に残した言葉の数々を紹介しよう。

 まずは、大阪から上京して芸術座の舞台に脇役として出演した1958年の12月28日号でのコメント。
「いっぺんに、パーッと人気がでえへんでも、ウチは細う、長うやっていきたい……こう思うとります」

 森さんを「お母さん女優」としての人気を不動のものにしたドラマ「時間ですよ」についてのインタビュー記事(1971年10月22日号)にも、その人柄を偲(しの)ばせる言葉が残っている。

「後世に名が残る女優というよりも、現在たくさんの人に愛される女優になりたいと思ってます」

 

 プライベートでは、59年にテレビ演出家の岡本愛彦(よしひこ)さんと結婚するも、3年半で離婚。98年3月27日号の林真理子さんとの対談「マリコの言わせてゴメン!」では、当時をこんなふうに振り返っている。

「あちらが演出家でしょ。いま思えば、あちらのピークとこちらのピークがズレてたんじゃないかと思います。菊田(一夫)先生は『女性は結婚しちゃいけない』って。私も、結婚する若い人によく言うんです。『最初っから一生懸命やるのはよしなさい。あとで手抜きしたと思われるわよ』って」

週刊朝日 2012年11月30日号