新政権は、原発再稼働に向けて舵(かじ)を切るのか。電力業界は戦後の原発政策を推進してきた自民党に大いなる期待を寄せている。

「安倍政権になれば、当然、再稼働の話が浮上します。本店は今からシミュレーションしてますよ。社内では、まず柏崎刈羽原発(新潟)を動かしたいという声が強い。時期は来年の春から夏。次に福島第二。津波で被害を受けたが、動かすことはできる。今は再稼働の見込みがないので、最低限のメンテナンスをしている状態です」(東京電力幹部)

 さらに酒が入れば舌が滑らかになる。最近、幹部を交えた忘年会の席で、こんな会話が交わされていたというのだ。

幹部「柏崎を動かせば、役員くらいになれるだろう」
社員「2F(福島第二)ならどうですかね?」
幹部「2Fを再稼働させたら、社長候補だろうな。1F(福島第一)だって、廃炉になったとはいえ、もともとは7、8号機の計画もあったんだからな」

 震災からまだ2年もたっていないというのに、完全に前のめりになっているのだ。事実、東電では原発にかかわった社員が出世してきた社風がある。

「再稼働に道筋をつければ手柄。出世できると言われている」(別の幹部)

週刊朝日 2012年12月28日号