九州地方でプロゴルファーを目指していた、20代半ばの針本恵子さん(仮名)は2006年の冬、ゴルフの指導者だった男性(当時56)にラブホテルに連れていかれ、「強姦された」という告発を始めた。

 男の氏名を仮に庄司正人としておこう。庄司は、若くしてプロテストに合格したことが話題となったプロゴルファーの父で、自身もシニアゴルフ選手権で優勝経験がある。最近では、テレビに出演し、プロゴルファーとして活躍する息子の教育論を語るなど、地元では有名人だ。

 小さいころからゴルフを始めた恵子さんは、中学生のころから庄司の指導を受けるようになった。

「土日も欠かさず、毎日練習に行っていました。庄司は激高すると大声で怒鳴るので、とても怖かった。でも、ゴルフについては、父より庄司の意見を優先するくらい信頼していました。生活態度にも厳しく、化粧もピアスも禁止。前髪も『ゴルフの邪魔になる』という理由で、バリカンで短く刈られていました」

 その日は、両親が仕事だったため、庄司が恵子さんの家から練習場への送迎をすることになっていたという。だが、庄司のスポーツカーは、まっすぐ練習場には向かわなかった。ラブホテル近くの駐車場に車を止めると、恵子さんに、「こういうとこ、来たことあるか?」と聞いてきたという。恵子さんが驚いていると、「社会勉強や。(車から)降りらんか」とホテルに誘われた。

 部屋に入ると、庄司は恵子さんの精神的なもろさについて説教を始めた。「お前には度胸がない。だから、こういうところに来たんだ」。

 そして、恵子さんにベッドに寝るよう指示した。「庄司は私の上に乗ってキスをしてきました。舌も入れられました。嫌で顔を何度もそむけたんですけど、体が固まってしまって動けなかった。逃げても捕まるんじゃないか、もっと怒られるんじゃないか、とか、頭がパニックになってしまいました……」。行為が終わると、庄司は、「誰にも言うな」と口止めし、何事もなかったかのように、練習場に向かったという。

※週刊朝日 2012年9月21日号