2030年ごろ、日本は生涯独身を貫くおひとり様が激増する時代を迎えるという。結婚したくでもできない、家族を作りたくても作れない「家族難民」とも言える人々。そこには様々な事情や価値観があった。実際に話を聞いた。

■契約社員の41歳女性東京都で一人暮らし

 いま精神的な支えになるのは、何でも相談できる複数の友達ですけど、最終的に頼りになるのはやはり家族のほかにいない。今は親がそう。家族がいるからこそ、仕事も旅行もいろんな冒険ができる。一番怖いのは、自分のことが自分でできなくなったとき、友達がまわりにいなくなったときです。

 今から心がけているのは身体のメンテナンスをすることです。筋トレをしたり、定期健診や食べ物に気をつけたり。通っているジムには90歳のおばあさんがいて、ラインダンスも踊っています。すでに夫も亡くしお金もないと言いながら、体が元気なので、友達と旅行に行くこともできる。彼女をみていると年をとることが怖くなくなります。

■IT会社正社員の42歳女性埼玉県出身。神奈川県で一人暮らし

 2カ月前、数年ぶりに彼氏ができました。趣味のダイビング仲間で遠距離恋愛です。今は「できちゃった婚」を狙っています。彼にも思いを伝えました。約20年勤めている会社を寿退社するのが夢です。

 正直、もう疲れました。システムエンジニアの仕事は長く続けたぶん、やりやすくなったけれど「やりがい」はわきません。楽しくもないことをやるために、毎日満員電車にゆられて会社に行き、不健康そうな人がいっぱいいる中で働き、家に帰ればたった一人。いくら正社員として安定した収入はあっても楽しくない。

 仕事を辞めて彼のもとに行くことは不安だけれど、やっぱり家族を持ちたい。夫婦になってお互いとことん向き合って影響し合う関係になりたい。

AERA 2014年1月27日号より抜粋