11月12日、真冬のような大雪が降った北海道の岩見沢駅前 (c)朝日新聞社 @@写禁
11月12日、真冬のような大雪が降った北海道の岩見沢駅前 (c)朝日新聞社 @@写禁

 11月に入って一気に気温が下がった感のある日本。今年の冬は例年に比べて寒くなるという。気象庁は12~2月の寒候期の予測を9月に発表した。気象庁の藤川典久予報官(季節予報担当)は話す。

「気象条件により、暖かい冬になる可能性は低い」

ここで気になることがある。日本の冬は東日本、北日本では2年、西日本に至っては3年連続の寒冬だ。地球は温暖化しているはずだったのに、なぜ寒い冬が到来するのか。

 実は、「温暖化」こそが、寒い冬の要因の一つとして考えられる、と言うのは国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書の執筆者、東京大学の木本昌秀教授(気象学)だ。

「ここ数年は温暖化が日本の冬が寒いことの要因の一つでした。北極付近の氷が溶け、周辺の大気の温度が高くなる」

 その結果、大気の流れが変わり、日本に強い寒気をもたらす「シベリア高気圧」が拡大する配置になりやすい。ただし、これが今年の冬にあてはまるかどうかについては不明だという。

 日本の冬の気温はここ10年は上昇していない。世界の気温も上昇しているようには見えない。別の要因があると、木本教授は続ける。

「この10年の温暖化のハイエイタス(中断)傾向には海水の温度が影響していました」

 太平洋ではアラスカ沖から赤道付近にかけた海域と日本近海の間で、海水温の高温域と低温域の分布が約10~20年周期で交互に入れ替わる。現在は日本付近の低温域が「広い」ため、地球全体の気温を下げる方向に働いているという。

 それなら「寒冷化」か、と早合点してはいけない。木本教授は断言する。

「これから本格的に温暖化することは間違いない」

 北極の氷は減り続けており、海が熱を吸収しているのも確実で、温暖化は疑いようがない。

「その年、その場所の天気や気温などの一つ一つの事象は『自然のゆらぎ』によって変動がある。ですが、地球温暖化が進むというIPCCや科学者の見解は、微動だにしていない」

AERA  2013年12月9日号より抜粋