今年5月に東京ディズニーリゾート(TDR)のホテルで発覚した問題が発端となり、一流ホテルや百貨店で、メニュー表示と異なる食材を使う「食材偽装」が次々と明るみに出て、各社は利用客への返金作業に追われている。
偽装を公表した企業の多くは、「メニュー表記に関しては、原材料までに踏み込んだ確認が十分ではありませんでした」(松屋)とメニューの誤表記や確認の不徹底などと説明したが、その内容といえば、「自家製バニラアイスに既製品を使用」(松屋)「贅沢霜降(ぜいたくしもふ)りハラミ重に、牛脂注入処理をした肉を使用」(東急)など、意図的と思わざるをえないような事例も並んでいる。
なぜこれほどまでに、食材偽装が常態化したのか。消費者問題研究所の垣田達哉代表は、こう指摘する。
「スーパーなど小売店の商品表記は、過去に偽装問題が発覚したため日本農林規格(JAS)法の罰則が強化された。一方、外食産業は基本的にJAS法の適用外。行政による監視もされていない“性善説”の業界だったのです」
一流ブランド企業でも、性善説では堕落するというわけだ。
※週刊朝日 2013年11月22日号