「クール・ジャパン」というとアニメキャラクターやゴスロリファッションなどが思い浮かぶが、最近ではそればかりではないようだ。今、外国人観光客に人気のスポットのひとつが、合羽橋なのだ。実際にどういったものが人気なのか、取材した。
早速、浅草近くの合羽橋道具街へ。外国人観光客が持っている率が高い紙袋の店名を頼りに、包丁と南部鉄器の「釜浅商店」という店に入ってみた。店内は外国人でいっぱいだ。
英語で包丁の説明を受けていたのは、カナダから来たというカップル。その男性が言う。
「趣味でキッチンナイフに凝っていて、日本の包丁も持っています。質がよくて、切れ味最高。デザインもかっこいいでしょ」
ちなみにこの彼、30分以上かけてじっくり吟味したのち、洋包丁2丁をお買い上げ。約3万円なり。同店のご主人、熊澤大介さんによれば、外国人観光客が増え始めたのは2~3年前。いまでは「来店する人の2~3割が外国人」と、すっかりグローバル化したという。
「日本食の広がりとともに、日本人料理人が世界各地で活躍してますからね。彼らが日本から持っていった包丁がよく切れると評判になったのが、日本の包丁の名が世界に広がったきっかけだと思います。和包丁は用途が限られるので、洋包丁を買っていく方が多いですね」
一方、南部鉄器の鉄瓶も、水質を変えてお茶をおいしくすると、水で苦労する中国富裕層の間で人気が爆発している。
「いまも並べたそばから、まさに飛ぶように売れていく状態です。が、こちらは転売目的で買う人も多い。その点、包丁は使う人が買っていく。研ぎ方を実演で見せているほか、仕事を終えたあと、包丁を研ぎながら精神まで研ぎ澄ましていく料理人の心持ちなども、丁寧に伝えています。包丁と一緒に、そんな日本人の心の部分まで広めていければいいですね」
※AERA 2013年9月9日号