いつも雑然としている私の机の上 積ん読本から実読本に移行中の本たちのスナップ しかし暑くて本に集中でけへん。。。(撮影/谷川賢作)
いつも雑然としている私の机の上 積ん読本から実読本に移行中の本たちのスナップ しかし暑くて本に集中でけへん。。。(撮影/谷川賢作)
このところで読了の本 偏りがあるなあ ため息 (撮影/谷川賢作)
このところで読了の本 偏りがあるなあ ため息 (撮影/谷川賢作)

 本は昔から大好きなので、書店を何気なくブラブラしていることもいつものことだし、ピン!ときた本を見つけたら躊躇せずにすぐに買ってしまう。そして「積ん読」(^_^; しかし、このところのますます苛烈な怒濤の出版ラッシュはいったいぜんたい何事なのであろう。年間8万点越えの玉石混淆。ため息。私の身内の83歳の老詩人でさえ、ほとんど毎月1冊と思われるほどの新刊上梓連打! しかも“販促承知の介”のTVを含む刊行イベント出演が相次ぐ。当の本人も「今は原稿渡して終わりという時代ではなく、著者がだいぶ表に出ていかないと売れない」とからだはきついのだろうけど、けっこうそれなりに楽しんでやっている様子で、まあ、楽しいのなら仕方ないか。それより83でまだまだ書けてしまうのが、あなオソロシや(>_

 これは自慢ではないのだが、このところ本を謹呈して頂くことも多々あり、平身低頭、恐縮至極。にしても、あっしのようなサルに読ませてどうすんの各々方!

 今回は私の手元にさ~っと一陣の風のごとくやって来た数冊を「ほめちぎご紹介」させて頂きたい。しかも私のすごいところは、まだ全部読んでいません。読んでないのに胸をはってその1冊をほめちぎってしまう。だって面白いに決まっているのだから。ぼむっ!太鼓判∈^0^∋

●その1 『されどスウィング』(相倉久人・著/青土社刊)

「中山本」をむさぼり読みするくせに、「相倉本」にはなかなか手が伸びない私だが、この1冊からまたあらためて乱読してみたいと思わせる、この相倉さん=JAZZという短絡をせせら笑うかのようなジャンル横断(このことばからしてすでに硬直していて非相倉的で苦笑いですが)「好奇心の散乱、産卵状態」なエッセイ、評論集。相倉さんのフレーズで好きなのが「とめどなく増殖する差違の洪水」という一言だが、自選集ということもあり、その差違の洪水を一緒に泳ぎきってすばらしい最後の1冊を世に出された担当編集の◯さんにも敬意を表したい。「あとがき」のエッセンスをちょっとはしょってまとめますが、ステージと客席の橋渡しに徹せられて<場>の活性化を標榜し続けた相倉久人さん。心からありがとうございました。

●その2 『たすけて、おとうさん』(大岡玲・著/平凡社刊)

「生まれて初めての創作経験以来、ほぼ必ず好んでいる小説、映画、漫画などを頭のどこかに置いて書きすすめる癖がついた気がする」と著者自身が「はじめに」で明かしていることにまず深く共感を覚える。しかしこれはすでに何度も書いているが「猿マネ=耳コピで創作がスタート」した私なぞ足下にもおよばないはるかに知的でウイットに富んだ、古典的名作に触発された「12のフーガ=主題とその変奏」と言うべき仕事であって、かつ、知的であるが、いやらしい頭でっかちではないという、まるで一流のジャズマンがものすごいアドリブの最中に「箸休めのユーモアにチラッとAKBのメロのかけらをいれて共演者にほくそ笑んでみせる」なんていう感じと言えばいいのだろうか。まだ全12編の最初の1編「たすけて、おとうさん」だけしか読んでいないのだが、この読み終えて「ふふふ」な顔ゆるみがうれしい(^^) ついでにと言ってはなんだが、前述の老詩人が盟友のために編んだ『大岡信詩集 丘のうなじ』(童話屋刊)もすばらしいことをお伝えしたい。私なんぞはもちろん、玲さんとて言われたかないと思うが、この知的なユーモアをいつも忘れない語り口は、小説と詩の違いはあってもやはり遺伝子のなせる業ではなかろうか(^_^; 

●その3 『“ひとり出版社”という働き方』(西山雅子・編/河出書房新社刊)

 手前味噌極まれりなので、この本のことは取り上げるのはやめようかと思ったが、この“爆売り”時代にどこ吹く風(おっと、その言い方はイヤミか、とガツンと言いかえされそう)の“小商い”の矜恃がスカッとします。この本では「夢がある、やりがいがある」という方向に話しのベクトルが向いているのが気持ちがよいので、うちのカミさんの本当にひとりでやっている出版社「ゆめある舎」(正真正銘ひとり運営の社も数社あるのですね。礼!)とともにほめちぎっちゃいます。それにしても、夜中にせっせせっせと自社本の発送作業を黙々としている「ゆめある舎」(東販、日販通さない主義)の社長を横目に見ながら、私は焼酎のロック片手にFacebookやっていたりするわけで、こういうとこ神様はちゃんと見てらっしゃるのだろうなあ。あわわ(^0^;)

●番外編 『非常識のすすめ』(里崎智也・著/角川書店刊)

 野球人の方の本も私にとっていつも必読本です。初手から電子書籍なので(これがありがたいのやら、やはり紙のほうがいのやら迷うところなのですが)Kindle で読みました。現役時代からのファンでしたが、この本を読みますますファンになりました。ノムさんだけがご意見番ではないのだ!いつの日かマリーンズの監督として戻ってきてください。[次回8/10(月)更新予定]