女性が体を売れば誰もが高収入を得られた時代は昔の話になったそうだ。ハダカの世界でも格差は進行し、二極化が鮮明になっている。本書には頑張っても1日1万円以下、月収10万円程度の世界が広がる。
 登場する女性の境遇は様々だ。大学を卒業して結婚して社会のレールに乗っていながら、家計を維持するために体を売る主婦。性産業以外の従事経験がなく、加齢とともに市場から退出を迫られ、その日暮らしをする50代。
「身勝手な選択の末路」と切り捨てるのは簡単だ。だが、生活を営むための最終手段として体を切り売りしてもなお、貧困から抜け出せない社会は過酷だ。
 売春の是非論は別に、普通の女性が売春の世界に押し出され、裸になったとしても生きていけない日本の現実にどう向き合うか。著者の投げかけは重い。

週刊朝日 2016年5月27日号