2月に入り、中学受験シーズンの佳境に。「女子は算数が苦手」という無意味な“圧力”こそ足かせになる
2月に入り、中学受験シーズンの佳境に。「女子は算数が苦手」という無意味な“圧力”こそ足かせになる

 中学受験の“要”といわれる算数。いまでは大手塾と算数塾を低学年からダブルスクールする子どもも決して珍しくない。算数1科入試は以前から男子校で採用されてきたが、最近は女子校でも導入する学校が増えてきた。その一方で、「女の子は国語が得意で算数が苦手」というまことしやかな話がいまだに根強く残る。その真偽を人気算数塾と理系で活躍する女性に取材すると――。

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 夕方。東京・自由が丘にある「フォトン算数クラブ」で授業が始まった。懸命に鉛筆を走らせるのは、小学3年生の子どもたちだ。

 難関校への圧倒的な合格実績を誇るこの算数専門塾は、毎年秋の入塾テストの難しさは当然のこと、入塾説明会をオンライン化する前は説明会の参加枠すら激しい争奪戦が繰り広げられることでも知られていた。

 通うのは、競争率の高い試験を勝ち抜いた子どもたちばかり。取材の日に教室をのぞくと、12人の生徒のうち8人が男の子で、女の子は4人。武井信達塾長によれば、各学年は約100人程度で男女比率は、いずれの学年も7:3ほどだという。

 やはり男の子のほうが「算数に強い」という意味なのか。そう、質問すると武井塾長は首を横に振る。

「単純に、男子の入塾希望者が多いだけです。そもそも大手の中学受験塾とうちの塾をダブルスクールすると、費用は決して安くはない。それでも『男の子だから費用を出そう』と考えているご家庭がいまでも多いということだと思います」 

 中学受験においてトップ校や難関校は算数の問題のレベルが高く、差がつきやすい科目だ。また大手塾が塾生を対象に行う確認テストやクラス分けに影響するテストなどでも、算数の配点が他科目に比べて高いケースも多い。ゆえに目標を高く定める家庭では、算数の専門塾へのダブルスクールをさせることもある。

 では、算数の成績に男女差はあるのか。

 巷でまことしやかにささやかれるのは、「女の子は、立体や図形問題が苦手」説だ。男の子は幼少期からレゴブロックなどで遊んでいるため空間把握能力が発達する――というのが“根拠”であるが、もちろん真偽は定かではない。

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受験勉強に「男女差」感じない