※写真はイメージです(GettyImages)
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 社会問題化して厳罰化された「あおり運転」だが、いまだ衝撃的な映像がニュースなどで大きく取り上げられている。過去に行われた調査では、あおり運転をする人は「加害者は男性が大半」「加害車両は高級車が目立つ」という傾向も出ている。そもそも、事故の危険や警察の厄介になるリスクが分かるはずなのになぜそこまで怒ってしまうのか。あおり運転と怒りの関係性を調べている日本アンガーマネジメント協会の戸田久実理事に、運転中の“怒り”の原因を聞いた。

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 あおり運転の調査研究は少ないが、2019年に警察庁交通局交通指導課の矢武陽子氏が、国際交通安全学会で「日本におけるあおり運転の事例調査」を発表している。2016~2017年に国内で起きた38件のあおり運転を調べたものでサンプル数はごく限られているものの、調査の中ではさまざまな傾向が示された。

▽加害者の年齢層は30代が最も多く若い層に目立つ

▽加害者はすべて男性、被害者も82%が男性

▽加害車両は500万円以上の高級車が40%を占め最多。一方の被害車両は比較的安価な車両が目立ち高級車は少ない

▽58%が複数車線の道路で発生しており、中でも追い越し車線での事例が目立つ

▽きっかけは「進行を妨害された」「割り込みされた」「追い抜かれた」という相手の運転行動によるものが目立つ

 などである。

 また、2020年に警察庁が発表した18~19年に発生した133件のあおり運転についての調査では、加害者の96%が男性だった。また、加害者の78%は同乗者がいなかった。

 加害者の年齢層は40代(27%)が最も多く、20代(22%)、30代(20%)と続くが、免許保有者10万人当たりで見ると10代が最も多いとの結果が出た。

 きっかけについては「進行妨害」「割り込み」など、相手の運転行動によるものが多く、先の調査と結果は似ていた。ただ、加害者の一方的な思い込みによるものも目立ったという。

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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