これは、「ここは一つ○○先生のお力でなんとかお願いします」のように時に浪花節的な議員とのやりとりと違い、徹頭徹尾理詰めで法令や根拠にのっとったやりとりが行われます。私も一度経験がありますが、ある法案を立案した際に、既存の事業への悪影響(新規法案が既存事業への予算削減圧力につながるなど)を恐れたある省庁が一晩に100問以上の質問爆弾(あるいは1000本ノックと言われることも)を投げつけてきて、それを徹夜で打ち返したことがあります(これらは誤りを避けるため、すべてペーパーでやりとりするのがルールです)。

 このような他省庁との関係においては、必ずしも人脈をつくっておく必要はありませんが、どうしても折り合いがつかない場合は妥協して落としどころを探る必要もあるため、幹部レベルともなると各省庁に人脈を構築するケースが多くなります。

●久保田崇(くぼた・たかし)
静岡県掛川市長。1976年静岡県生まれ。京都大学総合人間学部卒業後、2001年内閣府入り。ニート対策を内容とする「子ども・若者育成支援推進法」の制定などに携わる。東日本大震災後のボランティア活動を契機として、11年より岩手県陸前高田市副市長を務める。16年立命館大学公務研究科教授、19年より掛川市副市長に就任、21年より現職。