■「この人、胸がないんだ」だけで見られたくなかった

――婦人科系の病気は他と違って、公表しづらさがあったりしませんか。

 実は、最初は公表しないでおこうと思っていました。それはやっぱり、女性の中で胸ってデリケートなものなのかなと思っていたから。冷やかしじゃないですけど、そういう目で見られちゃうのかなって思ったりもしました。「この人、胸がないんだ」ってイメージでしか見られないかもしれないっていう怖さがあって、最初は何も言わずに一回お休みして、仕事をしながら頑張っていこうと思っていました。

 でも、抗がん剤をしたり治療が色々とあるというのを考えると、「公表して、自分が今後頑張っていきます」という姿を伝えたほうが誤解や冷やかしもされないのかな? って思い始めて。本当は怖かったけど、事務所の方とお話して、「全部伝えよう」と公表しました。

――公表してみてどうでしたか?

 今は良かったのかなと思っています。公表していなかったときに勘違いをされていることがたくさんあったんです。一カ月お休みしていたとき、「何が起きているの?」って噂をされたりして、そういうのが自分的には嫌だった。お仕事を一緒にしている方にも一人ひとりこまめに連絡もできないので、自分の口から真実を伝えて、ブログとかに書くほうが言葉として届けられるかなと思ったので書きました。それを見て実際に同じ病気の方たちが励ましの言葉をくださったり、「勇気をもらいました」というコメントをいただいたりもして。これはすごく予想外だったんです。でも、「そういう方にも届けられた言葉なら、書いて良かったな」って思いました。
(聞き手 AERAdot編集部 福井しほ)

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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