ちなみに、日本政府は、アメリカも日本同様、韓国の行動に「怒り心頭」だと信じているようだ。しかし、アメリカが仮に「怒り心頭」状態でも、それをそのまま行動に出すことはできない。なぜなら、仮に韓国が日米韓の対北共同包囲網から離脱するようなことがあったら、アメリカにとっては取り返しのつかない損失になるからだ。アメリカは韓国をつなぎ留めるため、一方では様々な脅しをかけるだろうが、それもあまり強くは出られない。脅しが過ぎると、韓国は中国に擦り寄る可能性があり、北とも勝手な取引をする恐れが高まるからだ。それを心配しながらある程度韓国に配慮せざるを得ないというのがアメリカの立場なのだ。

 つまり、韓国は、独自外交の姿勢を見せることで、アメリカに対するカードを手にすることができたということになる。

 一方の日本は、トランプ追従主義。北と対話することができないし、考えてもいない。持っているカードはアメリカと一体で圧力をかけ続け、最後は戦争でも仕方ないという1枚のアメリカカードだけ。戦争回避のカードはないのだ。

 今回、韓国が、独断専行で南北会談を実施し、北朝鮮から、核を含む戦略兵器のターゲットに韓国は入っていないという言葉を引き出したのに対して、日本は引き続き米国とともに標的とされ続けるという対照的な結果につながっている。

 韓国と日本の違い、それは、何が何でも戦争だけは回避しようという強い意志を持つ文大統領と、最後は戦争になっても仕方ないと考える安倍総理の違いに行きつくのではないだろうか。

■孤立深める安倍総理の友達は米国だけ

 安倍政権は、前述したような南北対話を肯定的に受け止める世界の流れとは全く異なる姿勢を堅持している。南北対話については、表向き否定的なコメントはしないが、前述したとおり、裏で様々なネガティブ情報を流して韓国政府を馬鹿にしたり、批判したりしている。

 さらに、安倍総理は、平昌オリンピック開会式に欠席する方向で検討しているという情報が流れている。韓国の慰安婦問題に対する対応への不快感を示すためのようだが、これは全くバカげた行動だ。

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