平らな土地に張った雨水が鏡のように景色を映すウユニ塩湖(本間さん提供)
平らな土地に張った雨水が鏡のように景色を映すウユニ塩湖(本間さん提供)
地平線に夕日が沈む様子は息をのむほど美しい(本間さん提供)
地平線に夕日が沈む様子は息をのむほど美しい(本間さん提供)
小型油化装置のデモンストレーションでは、多くの子どもたちがプラスチックごみを集めてきてくれる(本間さん提供)
小型油化装置のデモンストレーションでは、多くの子どもたちがプラスチックごみを集めてきてくれる(本間さん提供)
本間さんはウユニの小学校で環境教育の授業も行う(本間さん提供)
本間さんはウユニの小学校で環境教育の授業も行う(本間さん提供)
本間さんが掲げる環境教育リサイクルセンター構想(本間さん提供)
本間さんが掲げる環境教育リサイクルセンター構想(本間さん提供)

 見渡す限り真っ白な塩の大地が広がり、雨期(12月~4月ごろ)には、地面に張った雨水が鏡のように空を映し出す絶景「天空の鏡」が見られる南米・ボリビアの「ウユニ塩湖」。そんな絶景が観光客や現地の住民らが出すごみによって、見られなくなるかもしれないという。問題解決のために、現地ではさまざまな取り組みが行われているが、地球の反対側にいる私たちにもできることがある。

 2016年2月、ボリビア・ウユニ市で、子ども向けに、ある装置のデモンストレーションが行われた。神奈川県平塚市にある日本の企業、ブレストが開発したプラスチックごみを分解し、石油に変える小型油化装置だ。現地で環境問題に取り組むガイド、本間賢人さん(30)が装置に食品容器などのプラスチックごみを入れる。装置の中で石油が抽出されると、子どもたちから歓声が上がった。

「ごみは捨てません。新しい機械は私たちに有益なものになると思う」
「自然を壊したら、将来私たちは食べるものがなくなってしまう。だから自然を大切にしたい」

 子どもたちの言葉からは、環境を守ろうとする意欲がうかがえた。

 ボリビアを訪れる観光客は年間120万人以上といわれ、その一大観光地、ウユニ塩湖は、日本からも多くの人が訪れる。だが現在、観光客らが出すごみによる空気や地下水の汚染が、塩湖の景観を損ない、住民や家畜の健康被害を引き起こすという問題が起こっている。

 この問題に取り組んでいるのが、現地ガイドとして年間1500人以上の観光客を案内してきた本間さんだ。6年前、ウユニ塩湖のガイドを始めようと現地を訪れた際、「絶景よりもごみ問題に衝撃を覚えた」のがきっかけだ。

 自然保護と観光業を持続的に両立させる取り組みを進めようと、15年8月に環境保全団体「Projecto YOSI(プロジェクト・ヨシ)」を設立。現在、観光車両のドライバーや現地住民、ボリビアの環境省や市役所、大学などと協力しながら、ごみ問題解決に向けて動いている。

 本間さんによると、標高約3700メートルのへき地、ウユニには焼却場などのごみ処理施設がなく、ごみは埋め立てて処分される。個人で埋め立てる人もおり、分別なく埋め立てられ、地中で分解されないプラスチックごみは、ウユニの強い風にさらされて再び地表に顔を出し、周りに散乱していくという。一説によると、1日に排出されるごみは約120トンにも上るという。

 本間さんの調査では、散乱したごみによる空気汚染のためか、せき込んだり、体調不良を訴えたりする人もいる。また、ごみや観光車両の増加による汚染で、特産品である塩湖で採取される塩の品質が悪化し、塩を取る場所が湖の周りから内部へと移動するという影響も出ている。

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