「玉名市では震度6弱が観測されました。波恵さんは両日とも、自宅にいて起きていたそうです。幸い、玉名市では一部地域を除いて被害は広がらず、波恵さん宅は屋根の瓦が何枚か落ちた程度ですみました。波恵さんや娘の恵子さん、息子の保明さんも無事でした」

 14日の前震の翌日、波恵さんがかつて教えていた台中市の役所の国際課から、波恵さん宅に電話があったという。

「『恩師は大丈夫でしょうか? 何か必要なものがあれば、何でも支援します』という内容でした。息子の保明さんは、本県の役に立つかもしれないと思い、その内容を県庁の国際課に伝えたそうです。台湾の総領事館にあたる台北駐福岡経済文化弁事処の戎義俊処長(総領事に相当)からも、同じようなお見舞いの電話がありました」

 以前、波恵さんに送った手紙の中で「皮膚病の折り、メンソレータム(治療の塗り薬)をいただいた」と、思い出を書いていた楊爾宗(よう・じそう)さんからは、しっかりした日本語の手紙が送られてきた。NHKの放送で地震を知ったといい、「心を痛めながら、恩師のご健康とご無事を神にお祈り申し上げております」と記されていた。

「波恵さんと台湾の教え子たちとの交流は、今も続いています。そして、チャアチャの“伝書”も」

 一匹のが教えてくれた人と人のつながりは、地域を、そして国と時間を超えてわたしたちのもとへ届けられた。いつの時代も大切なのは、相手に直接伝えようとする「誠意」なのかもしれない。

 波恵さんのご回復と、熊本、大分の一日も早い復興を祈りたい。