苦労したのは、文学サークルとしての「アート性」とゲーム性の両立だ。過労死や残業というリアルな事象をいかにして落とし込み、熱中して遊べるゲームにするか、特にカロウシ基準の時間数に頭を悩ませた。最終的にはゲーム性を重視し、プレイヤーが増えると短くなるようにした。

 制作側の“推し”カードを聞いたところ、残業削減のための施策を検討する残業カード「残業削減活動」(3時間)を挙げてくれた。「いわゆる手段と目的が逆転した状態。残業時間の管理のみならず、残業しながら延々とタクシー代や携帯電話代を計算してコスト削減のために頑張っている姿に、日本のサラリーマンの豊かさの一面を感じる」という。

 ゲームについては、「あっと驚くようなドラマティックな展開や、うまくコンボが決まった時の快感が醍醐味ではないか。カードを切る時にも、『ああいま自分は残業(またはサービス残業)しているんだなあ』とかみしめながらプレイしていただけるとうれしい」とPRする。

 今後は、「名刺じゃんけん」というゲームを作りたいという。「16年春のゲームマーケットでお披露目できたら」と前向きなコメントをもらえた。

 ゲームはインターネット注文も受け付けており、一時は入手が困難だったが、最近は数日待てば受け取れるとのこと。名前や内容がかなり過激なこのゲーム。思い切って上司と一緒にプレイしてみては?(ライター・南文枝)