「彼らは、悪気も何もないよ。それが当たり前だと思っているよ」

「どうして?」

「だって、彼らは、就職活動で必死でエントリーシート書いて、企業の会社説明会に行って、がんばってアプローチしても、メール1本で落とされる経験をしているんだから。メール1本で休んだり、会社を辞めることが悪いことだと思うはずないじゃないですか」

 目からウロコだった。

 原因は、わたしたちオトナが作っていた。

 そんな視点で見ると、いろいろ納得していなかったことが、納得できるようになっていた。

 たとえば、近所にステキな飲食店ができていて、若手メンバーに、

「あんなところにあんな店ができているよ」

 と、盛り上げるつもりで言ったにもかかわらず、

「でも、大谷さん、そこ、食べログで2.8ですよ」

 と、言われて、ムカッときたことがあった。

 アンディ中村さんの言葉を聞いて以降、若手メンバーが、なぜそんなことを言うかも理解できるようになった。

 平成生まれのメンバーは、生まれた時からパソコンも携帯もあった。比較検討が当たり前だった。

 そして、彼らの価値観には、

「大谷さんは、盛り上がっているけれど、その店に行ってみたら、従業員の態度が悪いかもしれないし、美味しくないかもしれない。行ってから、大谷さんの不機嫌な顔を見るの嫌だよなあ」

 という感情が働いていた。

 それが理解できると、コミュニケーションのとり方も変わってくる。

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