来日後、4試合で早くも2本塁打を放った富山のローズ
来日後、4試合で早くも2本塁打を放った富山のローズ
地元マスコミからヒーローインタビューを受けるローズ
地元マスコミからヒーローインタビューを受けるローズ
ローズは積極的なファンサービスで人気を集めている
ローズは積極的なファンサービスで人気を集めている

 プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグの富山GRNサンダーバーズに入団したタフィ・ローズ外野手(46)が6月14日、富山市民球場で行われた武蔵ヒートベアーズとの2回戦で2号本塁打を放った。来日半月で4試合に出場し、本塁打2本のハイペース。「ホームラン王を狙えるかも……」とファンからは期待の声が挙がっている。

 戦力としてはもちろん、指導力や集客力で「ローズ効果」はてきめんだ。1、2打席目に凡退すると悔しさをあらわにしてチーム内の闘争心をかき立て、3打席目は右翼席の最深部に届く130メートル級の特大アーチ。最終の4打席目は四球を選んで出塁したが、チームは5―6で惜敗した。ローズの奮闘にもかかわらず富山は、13日までに前期優勝の可能性がなくなってしまっている。しかし、勝負への執着は人一倍だ。

「実戦の感覚は少しずつ戻ってきているけれど、1点差で敗れ、悔しい。どの試合も勝ちたいと思っている。悔しい……」

 指導者としての手腕も光る。食事の面で助言を送るほど親身の指導で進化しつつあるのが、米国出身の3番ニック・エーキンズだ。1打席目は2ストライクから5号となる本塁打を放ち、4打席目も積極的な打撃で反撃の口火を切った。日本の投手の特徴について噛んで含めるように教えた成果が表れてきた。「リラックスして打席に向かえ」という助言がニックの心に響いたそうだ。ローズのキャリアや経験に深い尊敬を抱いていると熱く語った。

 ほかの選手に対してもローズの影響は絶大である。1・2番コンビの大上戸健斗、岡野勝利には打撃投手を買って出て、きめ細かい助言を送った。挨拶や練習準備と後片付けも率先して行うなど、手本となっている。

 集客面でも「ローズ効果」はかなり大きい。この日の観客は911人だった。BCリーグの1試合当たりの平均入場者数は600人台で、富山は700人台を推移していることから、200人以上のアップである。試合後、ローズの前にはサインを求める長蛇の列ができた。富山のファンはもちろん、近鉄、オリックス時代のファンが関西から球場に足を運んでいるようだ。子どもが待っていると、「もうそろそろ……」と切り上げようとする球団職員の言葉を遮って、サインを続けることもしばしばある。

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