ドレイクにとって初の全米No.1となった「ワン・ダンス」のヒットの要因とは?(Song Review)
ドレイクにとって初の全米No.1となった「ワン・ダンス」のヒットの要因とは?(Song Review)

 最新の米ビルボード・ソング・チャート(5月21日付)で、リード・アクトとしては初の首位を獲得した、ドレイクの新曲「ワン・ダンス」。昨年秋に、最高位2位を記録した、大ヒット・シングル「ホットライン・ブリング」をはじめ、どっぷり黒くて重たい、男気あるヒップホップ・タイトルをリリースしてきたドレイクだが、「ワン・ダンス」は一転してポップ・シーンでも受けが良さそうな、アフリカン・テイスト漂うアフロビートなトラックに仕上がっている。

 ゲスト参加しているのは、ナイジェリア出身のポップ・アーティスト、ウィズ・キッドとフィリピン出身のR&Bシンガー、カイラ。どちらもアメリカでは知名度が高いとはいえないが、この「ワン・ダンス」の首位獲得によって、今後注目されることは間違いないだろう。公式ビデオはリリースされていないが、この3人によるコラボが映像で観れるのも、楽しみだ。

 歌詞の内容は、攻撃的でも卑猥なものでもなく、クラブで踊るシーンを、シンプルに描く様が歌われている。歌詞の中には、ジャマイカの単語も出てきたりと、音だけではなく、リリックにも夏っぽさやカリブの雰囲気が取り込まれている。ポップなサウンドと、聞き流せるライトな歌詞の世界観が、ヒットの要因かと思われる。

 今年2月から、9週の首位をマークした、リアーナの「ワーク」に習い、今年は、こういったユルめのダンス・トラックが流行のようで、「ワン・ダンス」の他にも、アルバム『ヴューズ』には、「リディムション」や「ファイア&ディザイア」などの類似したナンバーが散りばめられている。リアーナをゲストに迎えた「トゥ・グッド」もダンスホールっぽいテイストで、次期シングル候補としてもあがりそうな出来栄えだ。

 昨今のチャートで、「ドレイク」という名前を見ない日はなかったが、ソング・チャートで初めて首位を獲得したというのも意外だ。これから迎える時期にもピッタリの夏らしいナンバーで、米国のみならず、全世界で大ヒットを記録することが予想される。すでに、UKをはじめとしたヨーロッパ諸国や、オーストラリア、カナダなど10か国以上で首位を獲得している。日本のラジオでも、頻繁に流れる日は近いだろう。

Text: 本家 一成