スマートフォンに自動転送するカメラ

 カシオのハイスピードエクシリムシリーズは1/2.3型で1610万画素の撮像素子だったが、このZR3000は上位クラスのプレミアムハイスピードシリーズと同じ1/1.7型裏面照射CMOS搭載の1210万画素になった。画素数は減ったが、面積が大きくなったぶん解像感や階調再現性などは比べるまでもなく高画質になった。レンズは35mm判換算で25~300mmF2.8~6.3の12倍光学ズーム。撮像素子とレンズ以外の仕様は先行するZR1600とほぼ同等だが、5種のアートショットを一度で記録するブラケットや、ベストショットモードに新項目が追加されている。

この小ささで300mm相当の焦点距離はありがたい。特に超望遠時にHDRを使うと、コントラストも上がり、輪郭も強調され、立体感を増し侮れない画が得られる●64.8mm時(300mm相当)・AE(絞りf6.3・80分の1秒)・ISO800・AWB・JPEG・HDR
この小ささで300mm相当の焦点距離はありがたい。特に超望遠時にHDRを使うと、コントラストも上がり、輪郭も強調され、立体感を増し侮れない画が得られる●64.8mm時(300mm相当)・AE(絞りf6.3・80分の1秒)・ISO800・AWB・JPEG・HDR

 やはりいちばんのウリは、ZR1600同様一度接続設定をしたら撮影ごとに自動でスマホに画像が転送されるBluetooth Smart(ブルートゥース・スマート)の対応だ。何の操作もせずに撮影画像がスマートフォンやタブレットに記録される。撮った写真をすぐにアップしたい、SNSのヘビーユーザーには便利。極端な話、ポストビューを確認後すぐに削除を繰り返せば48.9MBの内蔵メモリーだけで事足りてしまう。残念なのは高倍率ズームにありがちなワイド端以外での近接撮影の弱さ。料理撮影は不向きだが、逆にスポーツ系や遠景ネタと割り切れば300mm相当が威力を発揮する。

デザイン
ネックストラップで両づり可能な金属ボディーは質感もよい。今回もご多分にもれず、ボディー表面にカメラ機種名の刻印やプリントは見当たらない

使用感・操作感
180度はね上げ可能な背面液晶モニターと前面にも設けられたシャッターボタンで自撮りしやすい。レンズ外周部の各種機能割り当て(初期設定はズーム)が可能なファンクションリングはプレミアムシリーズ機譲り

描写性
プレミアムシリーズよりも廉価なレンズであるが、撮像素子のおかげで階調表現が豊かになり奥行き感があるような被写体も立体的に写し撮る。日常の使用やSNS用途であれば十分に使いやすいカメラだ

◆ 宇佐見 健


*  *  *
●レンズ:5.4~64.8mm(35mm判換算25~300mm)F2.8~6.3。9群10枚。最短撮影距離:AF時:約6cm(ワイド端)●撮像素子:有効1210万画素。1/1.7型高速CMOS(裏面照射型)。総画素数:1276万画素●モニター:3.0型TFTカラー液晶(高性能クリア液晶)、92万1600ドット●撮像感度:オート・ISO80~6400。HSナイトショット時:最大ISO2万5600●無線通信:Bluetooth(Bluetooth Smart)。無線LAN:IEEE802.11b/g/n●記録媒体:SDメモリーカード(SDHC/SDXC対応)●大きさ・重さ:108.3×61.5×36.7mm・約248g(バッテリーとメモリーカードを含む)●価格:オープン(実売4万7300円)